特定技能外国人が安心安全に就業や生活ができるようにするために実施するのが「生活オリエンテーション」です。
内容としては、日本人にとっては当たり前のことばかりですが、特定技能外国人にとっては初めてのことだらけでとても大事な時間となります。
特定技能所属機関にとって重要な実施項目ですので、ポイントを押さえていきましょう。
※出入国在留管理庁のサイトを参考に内容を作成しております。
義務的支援<生活オリエンテーション>

生活オリエンテーションはいつまでにするのか?
特定技能外国人が日本に入国した後(または在留資格の変更許可を受けた後)に、遅滞なく実施する必要があります
生活オリエンテーションは、特定技能外国人が日本における職業生活、日常生活、社会生活を安定的かつ円滑に行えるようにするために実施しましょう。
特定技能外国人が理解できる言語で実施する
生活オリエンテーションは、特定技能外国人が十分に理解することができる言語により実施することが必要です。
実施方法として、テレビ電話やDVD等の動画視聴によるものでも大丈夫ですが、特定技能外国人から内容について質問があった場合に、適切に応答できるようにコミュニケーションがとれる体制を整備することが必要です。
生活オリエンテーションの確認書の提出が必須

上記の通り、生活オリエンテーションを実施したら、確認書に特定技能外国人のサインが必要です。
特定技能外国人が安全に日常生活を送れるように、大事なポイントをしっかり伝えてあげるようにしましょう。
生活オリエンテーションの実施時間

大前提としまして、特定技能外国人が全ての内容を理解できるまで実施する必要があります。
ただ、「十分に理解するためには、少なくとも8時間以上は行うことが必要」と明記されていることから、1日以上かけて実施するところが多いです。
就業中の外国人を、特定技能外国人として雇用するような場合、生活環境に変化がないことがほとんどですが、そのようなであっても、4時間に満たないようなときは、生活オリエンテーションを適切に行ったとはいえません。
相談または苦情の対応者の連絡先、緊急時における対応に必要な事項、外国人の法的保護に必要な事項など細かい点まで十分に理解させる必要があります。
生活オリエンテーションで活用できる資料

生活オリエンテーションで説明する項目が多すぎて資料作りが大変…。

外国人生活支援ポータルサイトや、生活・就労ガイドブックを活用しましょう!
出入国在留管理庁のホームページには親切に説明用の資料が用意されております。
特定技能外国人への支援項目はたくさんありますので、時間短縮できる方法はもれなく活用していきましょう。
職業生活上、日常生活上又は社会生活上の支援の内容

生活オリエンテーションの中で、事前に説明しておかなければいけないことを項目別にまとめております。
大まかな要点をまとめると下記6項目になります。
- 日本での生活一般に関する事項
- 国または地方公共団体の機関に対する届出、その他の手続き
- 支援担当および、国または地方公共団体の機関への相談・苦情の連絡先
- 医療機関に関する事項
- 防災や急病など緊急時における対応に必要な事項
- 労働に関する法令や自身の法的保護に必要な事項
それぞれの項目の中で、伝えなければいけないポイントを細かくみていきましょう。
日本での生活一般に関する事項
金融機関の利用方法
- 金融機関における入出金・振込等の方法、利用可能な時間、ATMの使い方、手数料等
- 出国する場合など、自己名義の銀行口座が不要となるときは、口座を閉鎖する手続を行うこと

将来再び入国するときのために口座を継続して利用する希望がある場合には、出国前に銀行に相談することもお伝えしましょう。
医療機関の利用方法等
- 利用可能な医療機関(症状別)、医療機関での受診方法、保険証を持参すること等
- アレルギー・宗教上の理由により治療に制限がある場合は、医療機関にその旨を説明すること
交通ルール等
- 歩行者は右側通行、車両は左側通行・歩行者優先であること
- 自転車を運転する場合は自転車損害賠償責任保険への加入が必要なこと等
- 自動車、バイク等を運転する場合は運転免許が必要であること

必要に応じて、運転免許の取得方法・自動車保険の任意保険への加入のもサポートします。
交通機関の利用方法等
- 就労・生活する地域の公共交通機関(通勤に最適な公共交通機関)と、その利用方法
- 勤務先までの経路、所要時間
- 通勤定期や、切符の購入・利用方法
- ICカードの購入・利用方法など
生活ルール・マナー
- 就労・生活する地域におけるゴミの廃棄方法等(分別・出し方、収集日、粗大ゴミの捨て方等)
- 夜中に大声で騒いだり騒音を出したりするなど、近隣住民の迷惑になる行為は控えること
- 空き地や畑に無断で入ることは避けること
- 喫煙には一定の制限があること(喫煙、禁煙場所等)
生活必需品等の購入方法等
就労・生活する地域のスーパーマーケット、コンビニエンスストア、ドラッグストア、家電量販店などの所在地の確認を実施します。
気象情報や災害時に行政等から提供される災害情報の入手方法等
気象情報・災害情報に関するホームページ、アプリ、出身国別の外国人向けのコミュニティサイトなどを必要に応じて共有しましょう。
我が国で違法となる行為の例
- 原則として、銃砲刀剣類の所持が禁止されていること
- 大麻、覚醒剤等違法薬物の所持等は犯罪であること
- 在留カードの不携帯は犯罪であること
- 在留カード、健康保険証等を貸し借りすることは禁止されていること
- 自己名義の銀行口座・預貯金通帳・キャッシュカード・携帯電話を他人に譲渡することは犯罪であること
- ATMで他人名義の口座から無断で現金を引き出すことは犯罪であること
- 他人になりすまして、配達伝票に署名したり、他人の宅配便を受領することは犯罪であること
- 放置されている他人の自転車等を使用することは犯罪であることなど
国または地方公共団体の機関に対する届出、その他の手続き

所属機関等に関する届出
特定技能所属機関の名称や所在地の変更、その消滅、特定技能所属機関との契約の終了または新たな契約の締結についての説明をしましょう。
住居地に関する届出
特定技能外国人が日本に入国後の住居地届出、在留資格変更等に伴う住居地の届出、住居地の変更届出についての説明をしましょう。
社会保障に関する手続き
- 未納がある場合には在留諸申請が不許可になる場合がある(在留期間更新及び在留資格変更の申請において保険料の納付状況を確認する)こと
- 健康保険及び厚生年金保険に関する手続・制度(保険料が給与から天引きされること)

特定技能所属機関が適用事業所の場合(法人事業所、常時5人以上の従業員を使用する個人経営の事業所)に説明が必要です。
- 国民健康保険及び国民年金に関する手続(外国人自身が手続を行う必要があること)

特定技能所属機関が適用事業所以外の場合又は当該外国人が適用事業所を離職する場合に説明が必要です。
税金に関する手続き
- 未納がある場合には在留諸申請が不許可になる場合がある(在留期間更新及び在留資格変更の申請において税の納付状況を確認する)こと
- 源泉徴収・特別徴収制度(所得税・住民税は、原則として給与から天引きされること)
- 住民税納付の仕組みについて

前年の給与所得がない場合は、入社2年目の年から納税が始まり、原則として離職後の翌年まで納税義務があること、離職後の納税については一括納税や納税管理人制度の利用も可能であることなど、住民税について説明しましょう。
個人番号(マイナンバー)制度の仕組みについて
- マイナンバーは日本国内での社会保障・税・災害対策の分野で利用されるものであること
- 住所地で住民票が作成された後、マイナンバーを通知するカード(通知カード)が自宅に郵送されること
- マイナンバーカード(写真付きICカード)が申請により取得できること
- マイナンバーカードは市町村によってはコンビニエンスストアで住民票の写し等の証明書を取得できるなど、各種サービスに利用できること
その他の行政手続
自転車防犯登録の方法等の説明が必要です。
特定技能外国人が、これらの届出・手続を履行するに当たっては、必要に応じ、特定技能所属機関等が届出・手続を行う関係行政機関の窓口へ同行し、書類作成の補助をするなどの必要な支援を行わなければなりません。
特に、国民健康保険及び国民年金に関しては、外国人自身が手続を行う必要があることから、手続を円滑かつ適切に進めるために同行することが望ましいです。
支援担当および、国または地方公共団体の機関への相談・苦情の連絡先

特定技能所属機関または、当該特定技能所属機関から契約により特定技能外国人支援の実施の委託を受けた者においては、以下の情報を共有しなければいけません。
相談や苦情の申出に対応することとされている者
- 支援担当者の氏名
- 支援担当者の電話番号、メールアドレス等

特定技能所属機関や、登録支援機関の支援担当者などが該当します。
相談や苦情の申出をすることができる国・地方公共団体の機関
- 地方出入国在留管理局(入国・在留に関する相談)
- 労働基準監督署(残業代を含む賃金の未払やその他労働条件に関する相談、仕事中にけがをしたときなど労働に関する相談)
- ハローワーク(失業等給付の受給手続に関する相談、職業相談)
- 法務局・地方法務局(差別、いじめ等人権に関する問題の相談)
- 警察署(犯罪被害相談や交通事故事件相談)
- 最寄りの市区町村(住民税、国民健康保険、国民年金や行政サービスに関する相談)
- 弁護士会、日本司法支援センター(法テラス)(民事や刑事などの様々な法的なトラブルが生じた場合の相談)
- 大使館・領事館(パスポートの棄損・紛失)等
医療機関に関する事項
特定技能外国人が十分に理解することができる言語により、医療を受けることができる医療機関に関する事項を共有する必要があります。
- 通訳人が配置されていたり、インターネットや電話による医療機関向け通訳サービスが導入されていたりなど、外国人患者の受入れ体制が整備されている病院の名称、所在地、連絡先
- 医療に関する支援の一環として、予期せぬ病気やけがの際に、高額な医療費の支払に不安を感じることなく、安心して医療サービスを受けることができるよう、医療通訳雇入費用等をカバーする民間医療保険への加入案内
防災や急病など緊急時における対応に必要な事項
- トラブル対応や身を守るための方策(地震・津波・台風等の自然災害、事件・事故等への備え、火災の予防)
- 緊急時の連絡先・場所、警察・消防・海上保安庁等への通報・連絡の方法(110 番・119 番・118 番、大使館・領事館、最寄りの警察署・交番、救急医療機関への連絡方法)
- 気象情報・避難指示・避難勧告等の把握方法、災害時の避難場所
労働に関する法令や自身の法的保護に必要な事項

出入国または、労働に関する法令の規定に違反していることを知ったときの対応方法や、外国人の法的保護に必要な事項を共有する必要があります。
- 入管法令(在留手続、みなし再入国制度、在留資格の取消し及び在留カードに関する手続等)及び労働関係法令(労働契約、労働保険制度、休業補償制度、労働安全衛生(必要な安全衛生教育等の実施を含む。)及び未払賃金に関する立替払制度)に関する知識
- 入管法令に関する違反がある場合(資格外活動違反、不法就労者雇用等)、その相談先(地方出入国在留管理局)や連絡方法
- 労働に関する法令違反がある場合(残業代を含む賃金の不払、36協定を超えた時間外・休日労働等)、その相談先(労働基準監督署又は地方出入国在留管理局)や連絡方法
- 特定技能雇用契約に反することがあった場合、その相談先(地方出入国在留管理局又は労働基準監督署)や連絡方法
- 人権侵害があった場合、その相談先(法務局・地方法務局又は地方出入国在留管理局)や連絡方法
- 年金の受給権に関する知識および脱退一時金制度に関する知識、それらの相談先(日本年金機構)や連絡方法
特定技能外国人への生活オリエンテーションを確実に実施しよう
日本人にとっては当たり前のことですが、特定技能外国人にとっては初めての文化になることも多いでしょう。
知らないうちに違反行為をしていたなんてことを避けるためにも、生活オリエンテーションを確実に実施していきましょう。
また、生活オリエンテーションは支援担当者の負担も大きくになりますので、登録支援機関に委託するのもオススメです。
スタッフ満足の紹介
私たち スタッフ満足 は、大阪、京都、兵庫、奈良で老人ホームを約50施設運営している株式会社スーパー・コートのグループ会社として、介護、看護に特化した人材派遣と人材紹介を行っております。
登録支援機関としても登録があり、グループ全体で年間400名の外国人の就労サポートの実績もあり、イレギュラー対応も得意分野です。
特定技能外国人の採用や、登録支援機関でお悩みの場合は、私たちにご相談ください!
管理コストや、登録支援機関のサポート体制に少し気になっているところがあれば、お悩みをお聞かせください。